家族で広げる、津別に生きる魅力と幸せ。

津別町の高級ブランド和牛『流氷牛』を生産する川瀬牧場さん。グリーンツーリズムの受け入れや、自家生産の美味しいお肉を味わえるカフェ『ぎゅぎゅ〜っとテラス』も営業しています。川瀬保子さんと 娘さんの希さんに、家族でチャレンジしていく楽しさを伺います。

川瀬保子さん 東京農業大学「オホーツクものづくり・ビジネス地域創成塾」で学び、6次産業化の実践が注目されている。

考え方とか やり方次第で、農業って すごく広がっていく仕事。

 生産から加工も始められたきっかけは?

保子 私はずっと何かやりたかったんですけど、中々広がっていかなくて。そこで夫が加工品をやろうって言い出したんです。それは自分の家の仕事を広げることなので、とてもいいなって思いました。それで加工や販売の勉強をしたくて、網走の東京農業大学キャンパスに3年間通いました。農大生や先生とも仲良くなって、新鮮でとっても楽しかったです。

津別の自然で育てた牛肉を、地元の人に もっと味わってもらいたいという思いで始めた牛肉加工「ぎゅぎゅ〜っとビーフ」

直売所を始めたんですけど、牛肉のソーセージってほとんどないから最初は販売するのも大変でした。それでソーセージといえばホットドックかなって考えました。私、パンも焼いていたので、ホットドックに合うパンのレシピを作ればメニューとして出せるなと。大学で勉強しながら、最終目標は食堂・カフェまで経営することだって見えてきたんです。

津別産小麦で保子さんが焼いたパンと、ぎゅぎゅ〜っとビーフのホットドック

ぎゅぎゅ〜っとテラス 川瀬牧場直売所&カフェ カフェの営業は毎週土曜日

自分たちの仕事をどうやったら楽しく広げられるか、やり方しだいで色々できるんじゃないかなって。家族が何か新しいことに挑戦していても、みんなで仕事を回せる方法を考えるとか。ちょっとしたきっかけがあれば、農業って すごく広がっていく仕事だなって思います。

川瀬希さん 千葉・東京で11年間過ごし、帰郷。現在は牧場経営に携わりながら、ぎゅぎゅ〜っとテラスの活動を広げている。

帰ってきて、改めて津別の良さを実感しました。

 東京から津別へ帰ってきていかがですか?

希 大学生の時、東京の先輩に津別へ行きたいって言われたんですけど、その時は まだ津別の魅力が分からなくて断ってしまったんです。そうやって東京で逆に“何もないことがいいんだよ”って、ここの良さを改めて気づかせてもらいました。それを帰ってきて実感しています。今は自信をもって津別を案内できます。

「ぎゅぎゅ〜っとテラス」で、出会いが広がっていく。

 牧場からカフェまで、家族で経営されているんですね。

保子 カフェの日、夫(伸一)は裏方として待機しているんです。加工品や牛肉の注文が来ると さっと倉庫から用意して持ってきてくれるので、私たちは接客と調理に集中できます。夫が影からカフェの営業を支えてくれているんです。今は娘がホールで私が作り手。希は接客が身に付いていて上手なんですよね。なめらかっていうか。

希 人と話すのは好きなので、接客と販売は楽しいです。でも、私は母みたいに酵母のパンを上手には焼けないですし。

保子 イベントの時は私が夜中からパンを焼いて、「じゃあ希、売りに行って」みたいな感じで。家族がそれぞれの得意で力を発揮できて嬉しいですね。

希 カフェもイベントも、やってるから来てくれるっていうか。不思議な出会いや、思いがけない再会とかもあって 広がっていくのがとっても楽しいです。私は私で同級生の野菜とお肉のコラボ販売をしたりとか、ぎゅぎゅ〜っとテラスの活動で やりたいことにチャレンジしています。そこからもカフェにつながればいいなって。

同級生・佐野奈津子さんの「ナツやさい」販売(6月〜10月)に参加。ぎゅぎゅ〜っとビーフとナツやさいの キッシュピザなど、コラボ商品を製作、販売している。

保子 私からしたら、娘がどんどん広げてくれてるっていうのがありますね。今までつながれなかったところとつながりが持ててきてる。やっぱり若い人は近い世代のほうが話しやすいので。いい感じの流れで広げていってくれているんです。

津別に帰ったら「顔つきが やわらかくなったね」って言われました。

 生まれ育った津別の魅力を教えてください。

希 東京は東京で楽しくて、わりと「いつも笑顔でいいね」って言われるほうだったんですけど、東京で一緒に住んでいた妹から 津別に帰ったら「顔つきが やわらかくなったね」って言われました。たぶん分からないうちに余裕がなかったのかな、向こうにいる時は。

保子 津別は せせこましくないっていうか、忙しいけど のびのびしてるっていうかね。あとね、お水がおいしい! 私、これは声を大にして言いたい! お水がおいしいって、ほんとに幸せ。

都会の人たちから、私たちの方が津別の幸せを教えてもらってる。

保子 私はここでずっと育ってきて、津別って何もないって思ってたんです。それが都会から来た子どもたちの受け入れ家庭になったら、都会の子どもたちは星が空にあるってだけですごく感動して、道路が広くてまっすぐっていうことにも感動するし、家族で一緒にご飯を食べるっていうことも すごく楽しくて嬉しくて 幸せなことだって。
津別に来てくれた人たちから、逆に私たちの方が ここで生きている幸せを教えてもらっているんです。

川瀬 保子(かわせ やすこ)さん

1965年 津別町出身。津別町グリーンツーリズム協議会会員。北海道女性農業者倶楽部マンマのネットワーク会員。東京農業大学オホーツクものづくりビジネス地域創成塾3期生(ものづくりマイスター認定)・5期生(MBAコース)修了。北海道立農業大学校主催・農業経営塾1期生修了。牧場・ぎゅぎゅ〜っとテラスの経営から、東京農業大学とも様々な取り組みを行っている。

川瀬 希(かわせ のぞみ)さん

1988年 津別町出身。千葉の大学を卒業後、東京で勤務。2018年に帰郷する。牧場の経営に携わりながら、ぎゅぎゅ〜っとテラスの出店、イベントの企画など活動の幅を広げている。

GYUGYU-tto terrace ー ぎゅぎゅ〜っとテラス

川瀬牧場直売所&カフェ(カフェ営業は毎週土曜日11:30〜16:00/ イベント出店のため臨時休業有ります)
北海道網走郡津別町豊永214番地2
お問い合わせ TEL 0152-76-2596

【取材・編集】小塚翔子(こつか しょうこ)
1983年生まれ、茨城県出身。富良野塾で脚本を学ぶ。
東京で舞台やラジオドラマの脚本、エッセイの連載等を手がける。
2020年に津別町の地域おこし協力隊に着任。
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