まちが ちょっと面白くなる種まき

津別町のお寺、福王寺の住職・福井隆雅さん。住職のお仕事の傍ら、様々なまちづくりの活動に取り組んでいます。月一で放送を続けている町の課題をゲストと語り合うインターネット番組「The 井戸端会議」も今年で3年目を迎えました。福井さんのまちづくりへの想いと、これからに向けた新たなチャレンジを伺います。

毎月第4金曜日に生放送が配信される「The 井戸端会議」の撮影。津別町のコワーキングスペースJIMBAの2階が収録スタジオです。

自分たちの住むまちを 少しでも楽しくするお手伝い。

 インターネット番組「The 井戸端会議」をはじめたのは?

数年前からPTAの関係で町の会議とかに行くようになって、それで町のことがちょっと見えてきたりしたので、やっぱり自分たちの住むまちが面白くなったらいいなと。なにか少しでもお手伝いできればという思いで始めました。道東テレビで「つべらない話」というまちづくり応援バラエティ番組を放送しているんですけど、それとは違う形でまちの人が集まって話せるような、一つのテーマを議論する場みたいなのを設けたら面白いんじゃないかなっていうふうに思ったんです。

軽い打ち合わせのあと、生放送スタート。和やかな雰囲気でゲストとのトークがはずみます。

緩く楽しくつながる場。

JIMBAという津別町のコワーキングスペースの2階がスタジオなんですが、当初は放送のある金曜日に1階でJIMBARというシェアバーの催しをしていて、それとと絡めて1階に飲みに来ながら上の2階のスタジオでは放送をしているっていうのが最初のスタイルでした。終わったらみんなと合流して、横のつながりができたら面白いかなと。例えば福祉は福祉の人でつながりはあるんですけど、ふだんそんなガチの話をすることもないみたいで。こういう場でお互い気づきがあれば面白いし、もしかしたら何かのきっかけでつながれる事業があったりするかもしれない。そういう人と人をつないで、なんかちょっとハッピーな気持ちになってくれたら嬉しいねっていうフワッとした感じではじまったんです。

カメラも2台使い、本格的な演出。「The井戸端会議」は道東テレビ制作の生配信でお届けしています。

場を用意するだけで、熱い思いが言葉になる。

 番組をやってみて意外だったことは?

みんな結構話せるっていうのがすごいなって思います。30分くらい前に集まってもらって「こんな感じです」って打ち合わせするだけなんですよ。スタートしたら自分の携わっているものに関して、いろんな思いだったり意見だったり、町に対してのことだったり。熱い思いが言葉につまらずスラスラ出てくる。元々場だけ用意すればみんなが喋ってくれるなっていう感じはすごくありますね。

「The 井戸端会議」 も3年目に突入。今年は人の出会いとチャレンジにフォーカスした番組へ。

まちの人が主体になって、何かができるきっかけになれば。

 これからの井戸端会議について教えてください。

最初は何か関わりが増えたらいいなって集まって話すところからはじまって、2年目は町の文化を深掘りして何回かにわたって話を聞いたりしたんですけど。今年、これから3シーズン目はもう少し変えて、もっと手を動かして人と人をつなげる仕組みにしたいなと。まちづくりにチャレンジしている人たちを呼んで、「どんなことをつなげたら面白いと思いますか?」とかそんな話を聞いて、こことここをつなげたら面白いかもしれませんねと妄想していくような番組にしようと思っています。なんでも種まきで、番組をやることで何か刺激になる人たちがいたり、誰かの気づきになってくれたら嬉しいですね。

去年から立ち上がったプロジェクト「つべつ学びラボ」。ホームページで津別の学びの魅力を発信します。

「つべつ学びラボ」で発行したつべつの学び環境を紹介する「習い事図鑑」では、津別の多様な学びや教育環境を分かりやすく紹介しています。

津別の学び環境の良さを「つべつ学びラボ」で発信したい。

 新たに取り組んでいる「つべつ学びラボ」について教えてください。

津別は社会教育が一生懸命活動していて、アソビバつべつをはじめ普通の環境だったら体験できないようなプログラムをやっていたり。教育現場でもノンノの森の自然学習だとか給食の取り組みとか頑張っていて、そういった津別の学びの良さを知ってもらえるような学び図鑑みたいなものを作りたいねと。まずはHPとパンフレットを作って津別のそういう良さが可視化できたら、住んでもらえる人も増えるんじゃないかな。子育てするなら津別もいいよねっていうところが見えたらいいなと思って去年から活動をはじめています。

「つべつ学びラボ」と津別町の学童クラブ「ものそとキッズクラブ」でITを活用した次世代のデジタルスポーツ「サッセン」の体験会を開催しました。

別室ではVR体験も用意され、子どもたちが楽しんでIT技術を体験する催しになっていました。

関係づくりが、より良い環境づくりへ。

 まちづくりの活動への思いは?

まちづくりっていっても、自分たちが楽しめる活動をしていくしかないのかな。企画も自分一人でやるより、いろんなメンバーで集まって考える機会が増えれば、それだけでも面白い場になったりすると思うので。お寺の活動としては祈りの場を広げていきたいという思いがあって、手を合わせて祈ることで逆に自分も誰かに祈られている存在だと気づくというか、祈ることによって祈られてるし、感謝することによって感謝されている。そういった目に見えないつながりを思う時間を設けてもらえたらいいなと思っています。まちづくりも、そういう人と人が刺激しあってお互い何か関係性ができていけば、いい環境が生まれてくるのかなと。結果は分からないですけど、自分たちの住んでるまちなんで、ちょっとでも楽しい空間になったらいいですね。

福王寺の住職をつとめながら、阿字観という瞑想の講座を行ったり、インターネットで活動を展開する「エア寺」にも参加されています。

福井 隆雅(ふくい りゅうが)さん

1978年生まれ 津別町出身。福王寺の住職。3年前よりインターネット番組「The 井戸端会議」の放送を始め、去年から「つべつ学びラボ」という新たなプロジェクトも立ち上げるなどまちづくりの活動に取り組んでいる。阿字観という瞑想の講座を行ったり、インターネットで様々な催しを企画する「エア寺」にも参加している。

The 井戸端会議 https://www.facebook.com/IdobataTsubetu/
つべつ学びラボ(PC画面仕様) https://www.tsubetsu-manabi.com/

高野山真言宗 福王寺 https://fukuoji.info/
エア寺 https://airderajapan.studio.site/

【取材・編集】小塚翔子(こつか しょうこ)

1983年生まれ、茨城県出身。富良野塾で脚本を学ぶ。
NHKサービスセンター、ポニーキャニオンエンタープライズ勤務を経て
日本語教師として日本語教育に携わる。
東京で脚本、エッセイの連載等を手がけ、
2020年に津別町の地域おこし協力隊に着任。
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