町の人たちとのつながりが原動力 

2016年8月から津別町に住み始めた北口さん。津別歴、約3年とは思えぬ程、すでに町に溶け込んでいる。
現在、「障がい福祉法人㈱びーと」の代表として、スタッフのみなさんと日々奮闘中。

ー障がい福祉の仕事をしようと思ったきっかけは?

津別で暮らす前のことですが、主人の転勤で宮城県仙台市から千葉県船橋市へ引っ越した時に、子供たちの学費も大変だから働こうと思って、平日9-17時勤務という条件面が合致したので、働きだしたのがスタートです。なので、最初は障がい福祉の仕事をしようと思って働き始めたのではないんですよ。

ーどんな仕事内容だったのですか?

仕事内容は、障がい者の働く場として運営しているリサイクルショップの運営全般と手作り商品の製造。利用者(障がい者)さんと一緒に商品を手作りしたり、その方たちの送迎、介助、記録簿作成から、店内ディスプレイの変更など多岐にわたりました。実際、働き始めたら思っていたことと違うことも多く、勤務時間も朝は9時前から夜23時くらいまでと大変でした。

ーそれでも仕事を辞めなかった理由は?

目の前の利用者さんがいたから。対会社だったら辞めていたかも(笑)。やっぱり目の前の利用者さんをみていたら、「じゃあ、さよなら」とは言えなかったんですよね~。最初はいろいろ文句もありましたが、仕事をやるうちに、この仕事にどんどんはまっていって。

ーそこから現在までどのような仕事をされていたのですか?

その後、千葉県船橋市の障がい福祉法人㈱ふくしねっと工房の立ち上げメンバーとして、約8年。直接支援として、利用者が行う牛乳配達や新聞折り込みを入れる仕事、梅干しやジャムづくりのサポートをおこなったり、就労支援として、就職して卒業していく利用者のフォロー、就職希望の利用者と企業をつなげる仕事などを担当。就労支援を担当していた時は施設長として業務全般をみていましたが、後任を育てバトンタッチ。現在まで㈱ふくしねっと工房にも所属しています。長年続けてこられたのは、目の前に利用者さんがいたからということと、友野さん(㈱ふくしねっと工房 代表取締役 友野剛行氏)の考え方や会社の人間関係、一体感がしっくりきたから。㈱ふくしねっと工房は離職率も低いんです。

ー津別町で起業するきっかけは?

津別町で起業したのには、約30年前から津別町と私が住んでいた千葉県船橋市の民間交流が大きく影響しています。実はこの2市町村では、小学生の相互派遣交流など、長年にわたって友好関係をはぐくんできています。その縁から、ちょうど津別町が障がい福祉に更に力を入れ、受け皿を拡げていこうというタイミングで、「㈱ふくしねっと工房」に声がかかったんです。初年度は業務委託で事業を請け負っていたんですが、そこから津別町で会社をつくろうということになりました。

ー実際、起業してみてどうですか?

現在、㈱びーとは、「障がい者グループホーム オフタイムハウスくりん荘」「さんさん館カフェ」の運営と、ひきこもり・生活困窮者支援事業として、さんさん館にて「心理カウンセラーの山田賢明さんの弾き語りライヴ」を定期的に開催しています。

やはり、スタッフのことが、いつも気になります。スタッフそれぞれ個性がある。どうやったら意欲的に働いてもらえるか?時間ではなく、ここを盛り上げたいと思って行動してくれることがうれしいです。

仕事で心がけていることは、「人とのつながりをつくること」「こちらから発信していくこと」「イベントなど積極的に参加し、こちらから出かけていくこと」です。

そこから、縁がつながっていく。
町の色々な人が助けてくれて、そこから次のつながりができていると感じています。

㈱びーとが運営する、障がい者グループホーム「オフタイムハウスくりん荘」では、利用者と一緒にスタッフが生活している。

㈱ふくしねっと工房では、夢をもっている人を応援してくれる体制があるんです。例えば、昼間は自分の夢のために時間を活用し、夜グループホームで仕事をして生活費を稼ぐ。スタッフの中には、ミュージシャンや演劇をやっている人もいます。

福祉の仕事以外のこともやっている人は、福祉以外に色々な知識があり、幅がひろがる。それが、福祉の仕事にも還元されるし、モチベーションにもつながっていて。

そういった意味でも、まさに「お互いに良い関係」ができているんです。

津別町でも同じことが出来ればと考えています。例えば週1回でも、夜グループホームで働いてくれる人が2名いたら、こちらはうれしい。

夢を実現させることと、生活していくことが両立できる体制。まさにプラスの循環を津別町でも実現できたらと考えています。

ー㈱びーとさんは障がい福祉が主な仕事ですが、どうしてカフェ運営を始めたのですか?

さんさん館カフェを運営しはじめたのは2017年4月から。その前は、他の方たちが運営されていたのですが、運営者を探しているときいて、障がい者の方が働く場としてもいいのではと思いスタートしました。現在は、障がい者の方は働いていないのですが、町内・外問わず、多くの方にご利用いただいています。ここは本当の意味での憩いの場。まちの人たちが、カフェでゆっくりと時間に気兼ねなくおしゃべりできたり、子供たちが受験勉強をしていたりと、休憩できる場以上の価値がここにはあると感じています。

津別町多目的活動センター「さんさん館」。カフェ以外にも、津別町観光協会では地元のお土産を販売していたり、木の遊具で遊べるキッズスペースなども併設されている。

ー北口さんからみた津別町ってどんなとこ?

そんなに普段の生活について、話すことはないかな~(笑)津別町に住む前は、船橋市と比べると、不便かなと思っていたけど、今は慣れたのか、移動圏内で考えるとコンパクトでいいかもと思っています。役場・郵便局・コンビニ・スーパーなど普段利用するところが近いので。また、津別町で生活してみて、「気にかけてくれる人が多い」「新しい人をすぐ受け入れてくれる」「趣味など多彩で色々な楽しみ方を知っている人が多い」ということを感じています。お祭りの数とそれぞれの参加者数の多さも驚きましたね。そういった意味でも過ごしやすい場所な気がします。

ー津別町でのお気に入り・おススメは?

津別町で、普段よく目にする広大な畑ですかね。特に雪が降り、まだ誰も歩いていない状態や、雪の白・土の茶色・針葉樹の緑がくっきりわかれている光景が好きです。

ーインタビューを終えて

今回、色々なお話を伺いましたが、人とのつながり、人との関わりが、北口さんの原動力なんだと強く感じました。その想いは、スタッフをはじめ多くの津別町の人たちにも伝わっているから、北口さんは現在津別町になくてはならない存在になっているのだと改めて感じました。

株式会社びーと 代表取締役
株式会社ふくしねっと工房 事務局長

群馬県出身。
千葉県船橋市にて10数年間、障がい福祉サービスの仕事に従事した後、2016年8月から津別町在住。
「良い加減にやる」がモットー。
決していい加減ではない。責任もある。孤独にもなる。でも、できないと思っちゃうと、どんどんそう考えていしまうので、自分を追い詰めないようにということだそう。

【株式会社びーと】
北海道網走郡津別町字一条通10番地1

2016年4月に設立
千葉県船橋市の障がい福祉法人「ふくしねっと工房」のグループ会社
・障がい者グループホーム「オフタイムハウスくりん荘」運営
・津別町多目的活動センター「さんさん館」内カフェコーナー運営
・ひきこもり、生活困窮者支援事業


【取材・編集】 都丸 雅子(とまる まさこ)
1974年生まれ、群馬県渋川市出身。
2016年春、地域おこし協力隊として津別町に移住。
任期終了後は津別町の移住・定住サポートデスクを担当。
現在は温泉旅行メディア「YUKOTABI」で道東エリアの記事も執筆中。

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