駅逓リバイバル

津別町に移住して、道東のWEB映像メディア『道東テレビ』を立ち上げた立川さん。立川さんは船橋で映像制作会社の代表のまま地域おこし協力隊として2016年、津別町に移住しました。その立川さんがメディアの次の一手として町内の物件をリノベーションしてコワーキングスペースをOPENさせました。メディア×リアルの場という新しい挑戦をはじめるコワーキングスペース『JIMBA』の話を立川さんに聞きました。

立川 彰(たちかわ あきら)さん
1980年静岡県生まれ。株式会社キロックムービー代表取締役・株式会社道東テレビメディア事業部長。2016年、船橋市で経営する映像制作会社の代表を務めながら、地域おこし協力隊として千葉県船橋市より津別町に移住。在職中にWEB映像メディア『道東テレビ』とコワーキングスペース『JIMBA』を立ち上げる。2019年5月地域おこし協力隊の任期が終了。

ーなぜ津別町でコワーキングスペースを立ち上げようと思ったのですか?

『道東エリアリノベーション・プロジェクト・イン津別』という空き家活用と新規事業を生み出していくというプロジェクトのパイロット事業として採択されたのがきっかけです。コワーキングスペースの他、ゲストハウスを創設するプロジェクトもあり、同時進行しています。千葉県船橋市にいた時から「開かれた映像制作会社」というのをやってみたいと思っていて、生配信ができたりショールーム的な要素を持った場所ができないかなと考えていました。映像制作は感性やトレンドもあり、新陳代謝が活発な業界です。キャリアが長くなるとスキルはあるのに仕事が減るということに課題を感じていたので、地方でその受け皿をつくれないかと思っています。地方でそのスキルを活かした情報発信をしたり、そのスキルを伝達するインキュベーション的な施設としてもこういったリアルの場所を活用できると思っているので、今回念願叶ってこういった機会に恵まれました。

まさしく「人の場所」

ーJIMBAのコンセプトは「駅逓(※1)リバイバル」だそうですね。

人が集まる場所としての「人場」、道東テレビの拠点としての「陣場」、レンタルキャンピングカー事業としての「人馬」、この三つの柱で人と場所を継ないでいくというまさに現代の駅逓です。2019年2月23日がこけら落としで4月中旬まではトライアル期間としているのですが、オープニングで津別町のレジェンド2人(※2)と編集者の藤本智士さんに来ていただきトークイベントと生配信(※3)をおこないました。その際も札幌や道東各地からクリエイターが来てくれたり、まだ1ヶ月ですが隣町出身の映像制作会社の方だったり、東京を拠点に活動されている人、いろんな人が訪ねて来てくれます。先日は北海道副知事にまで来ていただきました。今まではなかなか来づらかった人もこういった場があるからこそ人が来やすくなったり、集まれるんだろうなと思います。

※1 駅逓(えきてい)は、明治から昭和初期まで北海道辺地の交通補助機関として、開拓のために北海道にやってくる人や、旅をしている人に宿泊所として、または人や馬を貸し出したりということをしていた場所。北海道独特の制度。ピーク時には600を超える駅逓があったが、1947年には全廃された。
※2 相生にあるシゲチャンランドの大西重成さんと北海道でてこいランド山内彬さん。
※3 当日のトークイベントの様子はコチラ
https://www.youtube.com/watch?v=-uroG98lQ7A

ー人口5000人の町でコワーキングスペースという業態に不安はありませんでしたか?

JIMBAではコワーキングスペースという、いわゆるシェアオフィスという側面の他に機材を揃えた生配信のスタジオが揃っています。ビジネスの使用はもちろん、それ以外の用途にも使ってもらえるのかなと思っています。津別町は夜に集まれる店も少ないので、最近は夜にお酒を持ち寄ってで宅飲みの延長のような使い方をしている人もいます。夜な夜な、「いつも行けば誰かいる」という状態は今までなかった時間を楽しめたり、新しく何かが生まれるかもしれない。もうすでに農家の女性を取り上げたコーナーを道東テレビで作ろうとか、新しいプロジェクトの話も始まっています。こういった使い方もあるんだなと、作ってみたから気づいたことでした。「ネオ公民館」とも言えるかもしれません(笑)

任期を終えてからが本当の地域おこし協力隊

ーまさしく立川さんが目指していた開かれた映像製作会社ですね

ここがオープンしてから、それまでもイベントでお世話になっていた町内で自家焙煎をしている幾島珈琲研究所さんがここでカフェをやりたいと言ってくれたんです。明日からその改装が始まるのですが、完成したばかりなのにいきなり壊します(笑)そうやっていろんな形に変わりながら人が往来する場所になるといいなと思っています。まさしくそれが人場。キャンピングカーの事業はライフスタイルの提案だと思っていて、自分の好きなところで寝れて仕事できてって素敵ですよね、しかもこの北海道で。ぼくもそうですが、子供と密に過ごせる時間は学校にあがるまでで案外少なかったりします。そうした時にキャンピングカーで共に過ごす時間というのはとても貴重だと思っていますし、そんな人馬としての機能ももっと広めていきたいです。あとはゲストハウスのプロジェクトも物件がJIMBA周辺で決まりつつあるので、他にもこのJIMBAを起点に周辺にいろんな施設ができるといいなと思います。そうしたらここはJIMBAランドと呼ばれるようになるかもしれないですね(笑)

ーこれからが楽しみですね

こうしたことは津別町だからやらせていただけたことだと思います。船橋市だと家賃やイニシャルコストが高すぎて同様のことはなかなか難しいです。フラっと副知事が来てくれたりとかそんなこともなかなかないと思います。そういった意味でチャレンジの敷居はものすごく低いんだと思います。この春で地域おこし協力隊としての任期は終わるんですが、自分にとって、とてもありがたい制度でした。ここがゴールではなく、ここからがスタートです。任期が終わってからが本当の地域おこし協力隊なんじゃないかなと思います。

JIMBA

2019年4月中旬グランドオープン予定、津別町内のコワーキングスペース。「道東テレビ」を運営する立川さんが「駅逓リバイバル」』をコンセプトにかかげ、「人場・人馬・陣場」三つのキーワードを中心に津別町に人が集まる新たな施設として設立。個人の時間貸し(¥250/1h)・個ブース(¥10,000/1ヶ月)や生配信スタジオも完備している。
道東テレビ WEB
JIMBA Facebookページ


【取材・編集】 中西 拓郎(なかにし たくろう)
1988年生まれ、北海道北見市出身。防衛省入省後、2012年まで千葉県で過ごし、Uターン。
2015年『Magazine 1988』を創刊。2017年より、一般社団法人オホーツク・テロワール理事、『HARU』編集長に就任。
ローカルメディアの運営他、企画・編集・PR・ブランディングなど、道東をつなぐ・つくる・つたえる仕事を手がけている。
Twitter:@takurou1988 
WEB:http://1988web.com/

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